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Introduction ―戦乱の国への誘い―
鏡面のごとく磨きぬかれたチェス盤の向こう、誰も知らない戦乱の国があるという――
そこは、赤と白の2つの王国が終わりなき闘争を繰り広げる世界。
己の正義を懸け、戦い続ける者たちにとって唯一の存在意義こそは力。拮抗する力と力のせめぎあう先に、未来はあるのか。
なんのために戦い、なんのために血を流すのか。
猛々しい日々のかげに累積していく問いに答える賢者はいない。
世界の卵を抱く預言者はただただ微笑み、世界の守護者たる哲学者は歪みを正すことに価値を見出さない。
鏡の向こうの世界そのものが偽りであるというならば、この世界における正義とはいかに定義されるのか。
一番正しいのは、誰?
Outline ―あらすじ―
「殺戮の国」の狂宴から13年――今ここに新たな物語の幕が開く。
幼い双子の兄妹が地下室で見つけ出したガラスのチェス盤。
無邪気なゲームに没頭するうち、二人は強い光に意識を失う。
気がついたとき、片時も離れることのなかったはずの2人は見知らぬ場所でそれぞれが1人目を覚ます。
兄は白の王国に、そして妹は赤の王国に。
運命の悪戯によって2つの陣営に引き裂かれ、戦う宿命を負う双子。
駒として参戦したからには、どちらかが勝利するまでこの世界から抜け出すことはできない。
混迷を増す戦局に、かつての殺戮の国の住人たちまでが入り乱れ、悪夢の戦争叙事詩のはじまりはじまり。
長きにわたって戦力拮抗の危うい均衡のうえにあった戦乱の国の争いに、ついに決着の時が訪れるのか。
どちらかが勝利したその先に、待っているものは何なのか。
「よろしい。では諸君、ひとつ最後の戦いとやらをはじめようではないか!」